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  • Jin Kimura

雪国と織物(前編)

更新日:2020年6月5日





思わず目を奪われるような織物の数々、

これはユネスコの無形文化遺産である

越後上布・小千谷縮(おぢやちぢみ)。

そんな無形文化遺産が今、存続の危機を迎えているという事を、

またもや母から聞き(笑)今回は父と母の夫婦旅行に無理やり

同行させてもらい家族総出で真冬の新潟は小千谷の街へ

繰り出したのでした。

今回、私達がお世話になったのは

小千谷市の生涯学習スポーツ課の方々と

小千谷縮技術保存会の皆様!

こちらでは、毎年、小千谷縮の歴史学習と

技術の保存を目指し、全6回の講座を開いており、

父と母は2人だけで、この講座の最終工程である

「雪晒し」を体験しに行くと言うから、そうはさせまいと

私も飛び入りで見学だけさせてもらう事になったわけなのです。

わがままを聞いて頂いた現地の皆様、

本当にありがとうございました!

※本来は6回全ての講義への参加が必要となります。

今年の受付は5月下旬から以下のサイトで開始されます!

申し込みはココ→ http://www.ojiya.or.jp

というわけで、飛び入りで見学をさせて頂くことになった

「雪晒し」

こちらは雪という自然条件を活かした

小千谷縮独特の技法であり、

この地方の風物詩とされていて、

強い春日によって雪が解け出す

2月半ばから3月にかけて、日光のよく当たり、

雪の表面が平らな場所で1週間から10日間

繰り返し行わるのだそう。

予定通り、雪晒し前日に小千谷の隣町である

六日町に到着した私達は、早速天気予報を

確認したのですが、到着日からこの先1週間は、

雪もしくは曇で一向に天気は良くならない。

しかも肝心な雪晒しの日は湿った雪が降る予報になっている。

そりゃ雪国だから仕方ないとは思いつつでしたが、

このままでは雪晒しは見れない可能性もあるとの事で

到着早々、暗雲が立ち込めました。

しかし、私達一家は天気の事は一度忘れ、

それよりも急遽決まった4年ぶりの家族旅行に

つい胸を踊らせてしまい、曇天の六日町を練り歩き、

温泉に浸かり、民宿の温かい手料理と

新潟の銘酒である髙千代を頂き、ほろ酔いになって

旅行の初日を満喫したのでした。

翌朝5:30、隣町まで電車で移動が必要な為、

雪晒し開始の4時間前に起床。

かなりきつい起床でしたが、なんとか体を起こし、

窓に目をやると雪は降っておらず、

雲の切れ間には青空も見えている!


徐々に明るくなっても、予報の湿った雪は降らず、

改めて天気予報を見ると曇りに変わっていたのです!!!

そうして、雪晒しの本番に向け隣町の小千谷へ

電車で出発すると、ついには出るはずの無い太陽が

山の奥から顔を出したのです。

この時ばかりは、私も天気の神様に愛されたのだと思い、

歓喜したのを覚えています。

しかし、そう思ったのもつかの間、

一駅一駅小千谷の駅に近付くにつれ

曇り→サラサラの雪→ぼた雪と

あっという間に天気が崩れだしたのです。

それでも、最後まで奇跡を信じ、

私は車内のトイレへ長めに入りました。

そして長いトイレから出てみると、

そこには先程の晴れ間が戻っていたのです!

・・・・・みたいな。

シナリオを頭の中で描きながら

勢いよく外へ出たのですが、出た瞬間に窓の外が

吹雪いているのが目に入りました!

さらに悪化しているじゃないか、、、


でも山の天気は変わりやすいし、

もうこうなったら神頼みだ!と

その後は、満場一致で奇跡を待つ事にしたのでした!

(私達の長所はスーパーポジティブなところです。)

しかし、会場に到着しても一向に雪は止む事なく、

ついには午前中に予定していた雪晒しは、

午後まで見送りする事になってしまいました。

その代わりに、もともと午後に予定していた

山岸織物の見学を先にさせていただく事になりました。

部屋へ入った瞬間、講義の参加者の方々から

歓声が上がりました。

そこには4台の機織り機が並んでおり、

それを見た私も同じくわーっと声をあげて

その居座機(いざりばた)の織り機に駆け寄りました。


こちらの山岸織物では、代表であり小千谷織物同業協同組合の

理事である山岸良三さんが小千谷縮の技術向上や、

この技法を地域の文化産業として未来に伝える伝承者の養成を

目的として100日講習という物を実施しており、

父と母が参加した講義ではその一部を

見学させて頂くことができたのでした。

この100日講習ですが、小千谷縮の制作工程である

苧麻(ちょま)の栽培から、糸作り、染色、製織、

雪晒しと仕上げまでの30以上の手仕事を

全て講習できると言うもので、

年々女性の方の参加者が増えているのだそうです。

驚いたのは、100日と言う日数だけでも

途方もない時間なのに、職人と呼ばれるには、

最低でもこの工程を5年間続けて

いかなければならないと言うこと。

それ故、そのような職人さんが全て手仕事で作る縮は

1年で4〜5枚しか織られず、

1枚70万円以上の値段がつくのだとか。


確かに、それも納得できる気がするクオリティ。。。

また、先程まで私が文句ばかりつけていた雪と

織物の密接な関係についてもお聞きできました。

まずは、雪が降った後の大量の雪解け水について。

これが地下で自然に濾過され軟水となったものを

利用する事で染色に素晴らしい発色効果を

上げているのだそうです。

また、小千谷の縮を作る際は、雪が降ることで

湿度が保たれ、糸を紡いだり、よったり、

織ったりする時に糸が切れる事を防いでいるとの事。

山岸織物では更に加湿器を置いて湿度を保っていました!!

それでも切れてしまう糸は丁寧に結びつけ、

また織り重ねていく。。。

尋常ではない根気に頭が下がりました。

やはりこういった豪雪地では、この雪こそが

一番の恵みであり、雪がなければ成り立たない

産業なのだと言うことが分かりました。

といった具合で受講生の方を質問ぜめにしてしまい、

早1時間が経ったところで、ようやく興奮も収まり

100日講習中の受講生の方々にお礼を言い、

山岸織物を後に致しました。

そして、いよいよ午後の部である雪晒しに向け

とりあえず腹ごしらえだと

建物の外に出てみると・・・

先ほどまでの雪景色が嘘のようにカラッと晴れているのでした。

後編へつづく


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